『山陰線高速化−高速道路より鉄道電化を優先させよ』
吉田勝美
今、県内で山陰線の鳥取・米子間を一時間に短縮する高速化計画が実現に向けて動き出した。 一方、国と地方との間で高速道路の整備凍結をめぐり激しい議論が展開されている。
鉄道の高速化は新幹線の新設、在来線の複線化、電化の順。 全国の主要幹線の高速化は
すべて国費。 今回の高速化は、島根県と同じ方法の線路の直線化のようだ。 しかも工事費用は地方の負担だ。 これこそ地方の切り捨ての典型である。 県民から不満の声が起こらな
いのは不思議だ。
県庁所在地に電車が通っていないのは鳥取市だけとの汚名を返上。 子孫の貴重な資産になる。 電化の工事費用は、鳥取・青谷間、鳥取・智頭間の高速道路の建設工事費用の一部を流用するのはどうだろう。
そして鳥取・伯耆大山間、鳥取・上郡間の電化、一部の複線化工事をすればいい。
この工事が完成すると、@鳥取・米子間を五十分台に短縮、A米子から鳥取経由新大阪までやくも号並みの電車を運行(所要時間3時間20分台、現行やくも・新幹線利用と大差なく、距離は
32.2キロ短縮、運賃はJRとして米子・新大阪間片道千四百円割安)、B現行寝台特急サンライズ出雲号を鳥取経由(米子・東京間30分以上短縮)、C将来フリーゲージトレインを導入
、などが可能となる。県民の利便性の向上、経済的負担の軽減、京阪神からの観光客の利便性、県全体の経済活性化、旅行の快適性に寄与する。
今、国は緊縮財政。 国家予算は最小限に切り詰め、最大限に活用すると国民の意識改革を迫っている。
この際小泉首相が提唱する見直し論に賛同し、県内高速道路の整備の一部である県東部の山陰自動車道、鳥取・青谷間および中国横断自動車道・姫路鳥取線(姫鳥線)の鳥取・智頭間の高速道路建設工事を見直してはどうだろう。 その理由は、
T.鳥取市を中心とする周辺の既設の道路は近年よく整備されており、大都市の道路の混雑、渋滞ぶりに比較するとまだ余裕がある。 ただわずかの便利さのみを追求するのではなく、多少の不便は甘受して、古き良き自然の景観を少しでも損なうことなく、そのままの姿で子孫に引き継ぐことも大切で有意義。
大きな高速道路を、さらに一本ずつ数千億円という巨額の国費を投入してまで建設することが、果たして大きな有効適切な経済的効果を生むか、国費の有効な支出となるか疑問。鳥取市近辺の交通量の増加は将来見込めない。
U.今後もさらに少子高齢化が進み、人口が次第に減少するので、それに伴って車の量も減少することが予想される。 近いうちに人口増加に転向するとは到底予想しがたい。
車の燃料となる石油は無尽蔵の資源でないことも忘れてはならない。
V.智頭から青谷までの地域の住民に若干の不便を与え不満が残るものの、いずれも20キロ前後の距離、時間的にも数分前後の差、両者を鳥取市で直結しなければ車の運行に重大な支障を来すとは到底考えられない。
そのうえ車の通行料金の取り扱いはどうなるのか。
W.冬期の降雪時の除雪作業労力の増大により労賃などの経済的負担が大きく膨らむ。
以上の観点から、県全体の高速道路体系の一部が欠けることになるが、県東西の鉄道の均衡化、そして全国の鉄道との格差是正するため山陰線・智頭急行の電化を優先させるべきと考える。
本文は日本海新聞2001年(平成13年)11月30日(金)より抜粋したものです。
●『山陰線高速化』の参考文献リンク
●『山陰線電化』の参考文献リンク